正体不明!家に居座っていた謎の引きこもり男

現代において引きこもりは減少しつつある。
引きこもりと言う言葉が生まれたのは1970年代にまで遡り、日本と韓国に圧倒的に多いとされている。しかし、家の中に引きこもっているのは人間だけとは限らない。正体のわからない何者かが家に居座っているケースも存在するようである。
今回の話は、そんな謎の男にまつわる不思議は体験談である。

ジャンル:不思議な体験
怖さ:★★☆☆☆
長さ:★★☆☆☆

正体不明!家に居座っていた謎の引きこもり男

俺の家には、小さい頃からひきこもりのオッサンがいた。50~60くらいの白髪で、随時家の中にいて何もしない。
当時じいちゃんはちゃんと2人いたから、祖父というわけでもないようだった。しかも、親父とかお袋はそのオッサンのことを“たかし”と呼んでいて、小さい子の面倒でも見るように接していたので余計にオッサンが何者なのか謎だった。
そして、物心ついた時にはもう家にいた「たかし」にさほど大きな謎も持たないまま俺は小6になった。俺たちの学校では卒業前に修学旅行があるんだけど、当時俺の家は相当貧乏だった。別段贅沢をしているわけでもないし両親共働きなのに 、我が家は貧乏だった。
だから当然のように、高いお金のかかる修学旅行にの参加は断念された。
残念だけど、仕方ないと思っていた。

だがどうしても、修学旅行に行けなかったというイライラは消せなかったのだろう。
そしてあの事件が起きた。

クラスのみんなが修学旅行に行ったために朝から家にいた俺。両親は仕事に行ったので、家には俺とたかしの2人だった。
お袋にたくさんの家事を言いつけられていて、仕方なくやっていた俺は(何で旅行にも行けなかったのにこんなことまでやらなくちゃいけないんだ!)と、反抗期なのかイライラが止まらなかった。
そんな中、事件の引き金となる「ハハハハハ」というたかしの笑い声が聴こえてきた。
俺が自分の家の貧乏さに嘆きながら洗濯物を干してるのに、たかしは呑気にテレビを見て笑ってるようだった。
プチンと自分の中で何かがキレたのを覚えている。気づけば俺はたかしの前に立ち大声で叫んでいた。

「何がハハハハだよ!ふざけんなよ!お前何呑気にテレビ見て笑ってんだよ!何もしないでテレビばっか見やがって…金くらい稼いで来いよ!」

言い終わったとき、ものすごくスッキリした気がする。でもそれ以上に、俺は後悔していた。(ろくにしゃべったこともない相手に言い過ぎた…謝ろう)と口を開いた。その時、

「あ゛あ~~!わ゛ぁ~~あ゛あ~!」

と、突然たかしが大声で奇声を発した。いきなりのことにかなりビビった俺は呆気にとられる。そしたらたかしは突如立ち上がって、奇声を発したまま家を飛び出していった。

俺は両親が帰宅するまでの間絶句していた。

その後は、なんだか淡々としていた。帰宅した両親にたかしが出て行ったことを告げたら、ふたりとも少し驚いたみたいだけど「もう寝なさい」と言った。仕方ないから寝たけど、なかなか寝つけなかった。

次の日、というかそれ以降、両親の口からたかしのことが語られることはなくなった。だから俺も禁句なのかと何も訊けないでいる。ずっと家にいたオッサンがいなくなったのに、我が家はいつもの日常が続いた。
ただ、少しだけ変わったことがある。どん底貧乏だった俺の家が、裕福になったのだ。

たかしが飛び出してからは、お袋も専業主婦になった。俺は中学では修学旅行を楽しんだ。何故か、我が家は幸せの鰻登りになった。

たかしがいなくなって随分経つが、今でも俺は時々考える。
たかしは一体何だったんだろう?

家に居座っていた謎の引きこもり男 解説

興味深く面白い話だったので解説を入れます。
今回の話の主人公である小学生がまだ小さいころから家にいたという「たかし」という人物は恐らく引きこもりのオッサンではなく、貧乏神の一種であろう。土地神なのか悪霊なのかは分からないが、「いた」のではなく「憑いていた」と思われる。
両親がなぜ「たかし」と呼んでいたのかは分からないが、何らかの原因により貧乏神が居座ってしまい両親も諦めていたものと思われる。
しかし、事情をまるで知らない子供の純粋な怒りが貧乏神を圧倒し家から追い出すことに成功して裕福になったと考えるのが一番筋が通り面白い。

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